「人を動かす方法」
はじめ題名を見た時、「随分といやらしい題名だなぁ」と思いました。
オーディブルで1回通して聞きました。
面白い。
しばらくして2回聞きました。
忘れていたが、やはり面白い。
3回目。朝ウオーキング中に、自分が参考となった箇所をスマホにメモり、ウオーキングが終わった後、それを見返すと、自分の周りで起きている事とマッチすることがあったり、本の内容とは真逆な事をやっていて、実際に悪い方向になっている現実が見え始めました。
実例が数多く散りばめられていて、より具体的効果をリアルに感じることができるので、自分の実生活での出来事に容易に結び付ける事ができます。
既にやっている事については「確かに自分の経験からその通りだ」と実感でき、出来ていない事については「今すぐやってみよう」と実践し、一定の効果を実感できます。
これ程理解しやすく、実践して効果がすぐに実感できる内容は、正直今まで出会ったことがありませんでした。
あえて言うなら、「人を動かす方法」ではなく、「人に動いていただくける為の心がけ」とでも言いましょうか。
人を動かす方法/デール・カーネギー
【人を動かす基本原則】
①蜜が欲しければ、蜂の巣を蹴るなかれ
●人間はたとえ自分が悪い事をしても、100回中99回は自分が悪い事をしたという事に気づかない。
●人を批判する事は無益である。人を身構えさせ自己弁護しようとする。
●批判は危険ですらある。その人が大切にしている自尊心を傷付け、重要である人間でいたいという心を損ない、怒りへと導く。
●ベンジャミン・フランクリンの成功の秘訣
・他人の悪口は決して言わず、人の良い所を見つけては褒める事にしている。
・批判したり非難したり文句を言うことは愚か者にも出来る。
・人を理解したり認めたりするには品格と自制心が必要。
●人を非難せず理解するように努める理由
・その方がずっと得だし楽しい。
・理解する事によって同情や寛容、優しさが生まれる。
②「人を動かす」たった一つの秘訣
●相手に自らそれをしたいと思わせる事。方法はそれしか無い。
・人に何かをしてもらう唯一の方法は、相手が欲しいと思っている事を与える事。
・フロイト>人々の行動はすべて2つの動機から発している。
①性的な衝動
②偉くなりたいという欲望
・アメリカの哲学者、ジョン・デューイ>人間の最も根源的な衝動は「重要でありたい」という欲求。
●通常人が欲しいもの
①健康と生命の保全
②食物
③睡眠
④お金及びお金によって買えるもの
⑤来世の生命
⑥性的満足
⑦子供の幸せ
⑧自己重要感
①〜⑦は満たされる。
⑧偉くなりたいという欲望、重要人物になりたいという欲求>なかなか満たされない。
●心理学者のウィリアム・ジェームズ曰く、人間の本性の最も深い所にある原理は、「人に認められたい」という強い渇望である。
●人類史上100万ドルの給与を手にしたもの>クライスラー創業者:ウォルター・クライスラー、鉄鋼王:アンドリュー・カーネギーの片腕>USスチール社長:チャールズ・シュワブ。
○チャールズ・シュワブ曰く
・人を扱う能力のお陰。
・私には人にやる気を起こさせる能力があって、それが自分の持っている最大の資産だと思っている。
・人々が持っている能力を最大限に引き出す方法は、相手を認め、励ます事。
・上司から貶される事程、部下のやる気を削ぐ事は無い。
・私は誰も貶さない。
・やる気を引き出す事が重要だと信じている。
・褒めるのが好きで、粗探しをするのが大嫌い。
・何かいいなと思ったら、それを心から評価し、惜しみなく褒める。
・批判的な人の元で働くよりも、認めてくれる人の元で働く方が良い仕事をするし、より一生懸命働く。
○アンドリュー・カーネギーが大成功した最大の要因の一つ
・公的にも個人的にも部下達を良く褒めた。
・カーネギーの墓跡に残した言葉
>自分より賢明な物を周囲に集めるすべを心得し者、ここに眠る。
●「称賛」と「お世辞」の違い
・一方は心がこもっており、他方は心がこもっていない。
・一方は本心から出るものであり、他方は口先から出る。
・一方は相手に対する思いやりがあり、他方は自分可愛さがある。
・一方は誰しもが感心し、他方は誰からも非難される。
●自分の手柄や欲求の事を考えるのは止めよう。
・他人の良い点を探そう。
>そうすればお世辞は無用になる。
・嘘偽りの無い心からの称賛を与えよう。心から評価し、褒めよう。
>相手はあなたの言葉を大事にして何度も何度もも心の中で繰り返すだろう。あなたが忘れる頃になってもまだ覚えているだろう。
③それが出来る者は世界を味方に付け、そうでない者は一人寂しく道を歩む事になる
●相手が欲しいものを話題にし、それを手に入れる方法を教えてあげる。
●人間の行動は心の中で望んでいる事から生まれる。人を説得する力を付けたいのなら、相手に「そうしたい」という欲求を起こさせる事。(人の行動を促す/ハリー・オーバーストリート教授)
●誰かに何かをしてもらいたくなったら、相手を説得する前に、『どうしたら相手が「そうしたい」という思いにらさせられるだろう?』と考える。
●ヘンリー・フォードの言葉
・対人関係に対する史上最高のアドバイス
>成功の為の秘訣は、人の立場になって考え、自分の目からだけでなく、相手の目から物事を見る能力を磨く事。
●好き嫌いが激しい痩せて小さな子供にご飯を食べさせたい。
・叱りつけ小言を言った。「お母さんはあなたにこれを食べてもらいたいの」「お父さんは君に大きくなってもらいたいんだ」
>聞かない。
・この子は何を望んでいるのだろう?この子の望みに私の願いを結び付けられないか。
・三輪車で遊ぶのが好き。数件先に悪ガキがいて、三輪車を取り上げて乗り回してしまう。>子供は泣いて帰り母親が三輪車を取り上げ子供に渡す。毎日。
・子供のプライド、怒り、自己重要感。>悪ガキに仕返しをする事。
・「お母さんが言う物を全部食べさえすれば、いつの日かあの体の大きな子をコテンパンにやつける事が出来る。>問題消えた。
●おねしょのクセがある子供を治したい。
・どうしたら「おねしょをしたくない」と思わせる事ができるだろう?
・子供は何を望んでいるのか?
>祖母と同じネグリジェではなくパジャマが着てみたかった。
>・自分だけのベッドが欲しかった。
・子供を百貨店に連れて行き、店員に「ここにいる小さな紳士がお買い物をしたいのですって」
>店員が自尊心をくすぐる様に「いらっしゃいませ、何がご入用でしょうか?」
>子供は胸をそらして「僕のベッドが欲しいんだ」
・ベッドが届いた後、父は息子の選んだベッドを褒め、「このベッドを濡らしたりはしないよね」
>子供は約束を守った。自分のプライドがかかっていたから。
>大人の様に振る舞いたいとら思い、実際にそうした。
●作家:ウィリアム・ウィンター
・自己表現は人間の最も強い欲求
●何から素晴らしいアイディアを思いついた時、それを自分の考えだと主張する代わりに、それを相手に思いつかせ料理させてみてはどうだろうか。
>相手はそれを自分の考えだと気に入り、お代わりまでしてくれるかもしれない。
【人に好かれる6つの原則】
①いつでも何処でも誰からも好かれる方法
●相手の関心を引こうとするよりも.心より相手に関心を寄せる。
●人生の意味の心理学(アルフレッド・アドラー)
・周囲の人間に関心を持たない人間は、本人も人生で非常に苦労するし、周囲の人をも多く傷付ける。人類が犯した過ちの多くはそうした人間から生まれる。
●ルーズベルト大統領
・ホワイトハウスの使用人や庭師までも、会えば親しみを込めて名前を呼び一言声をかけた。
>その中の一人(マイク・フーバー)曰く「2年近いお勤めの中であれほど嬉しい日はなかった。いくらお金を積まれたって、あの思い出を売ろうととする人間はいないでしょう」
●友達を作りたければ進んで人の為に何かをする事だ。時間とエネルギーが必要なもの、自分の事は忘れ、深い思いやりが必要なことを。
●著者(デール・カーネギー)が心掛けている事
・昔から友人の誕生日を聞き出す事。
・人に会うとまず「生年月日は、その人の性格や気質に何らかの関係があるか?」と聞く事にしている。
>生年月日を教えてくれと頼む。
・誕生日の時、祝電を送ったり祝いの言葉をかける。
●相手の興味を持っている事に対して何らかのアウトプットをする。
>社長の息子が興味がある珍しい中古切手を贈呈する。
>相手が誇りに思っている事を親身にらなって聞く。
●人に好かれる原則1
人に心からの関心を寄せる。
②第一印象を良くするシンプルなやり方
●仕草は言葉より雄弁であり、笑顔は周りに対してこう語りかける。私はあなたが好きです。あなたと一緒にいると楽しいのです。あなたに会えて嬉しいです。だから犬は人から好かれる。
●無理に作った笑顔はダメ。心がこもった本物の笑顔。内から湧き出る笑顔、金を払ってでも見たい笑顔。
●人に好かれる原則2
笑顔
③これを忘れるとトラブルの元
●5万人のファーストネームを覚えている。(ジム・ファーレ/合衆国郵政長官)
>フランクリン・ルーズベルトを大統領にした。
○名前を記憶する方法
・初めて会う人の姓名、家族構成、仕事の内容、政治的な見解を聞き出す。
・会った時の光景と一緒に頭に叩き込む。
・次に会った時、相手の背中を叩きながら妻や子供の事を尋ね、その人の庭の様子についても聞く。(相手に関心を持ち続けている事を示す>相手は好感を持つ)
○大抵の人間は自分自身の名前に強い関心があって、それには世界中の名前が束になっても敵わない力がある。
○人の名前を覚えて親しげに呼べば、ささやかなだが効果的なお世辞になる。
>逆に、名前を忘れたり、綴りをまちがったりすれば、極めて厄介な立場になる。
●鉄鋼王、アンドリュー・カーネギーが成功した理由
・10歳の時、人が途方もなく自分の名前を大事にしていると事に気づいた。
>それを人の協力を得る為に使った。
・少年時代、一羽の母ウサギを捕まえた。子ウサギが沢山産まれた。
>与える餌が無い。
>近所の子供達に「餌を採ってきてくれたら、ウサギのその子の名前を付けてあげる」と。
>その作戦は見事に当たり、カーネギーの生涯忘れられない教訓となった。
●フランクリン・ルーズベルト
・相手の名前を覚え、相手に重要感をもたせる。
●人に好かれる原則3
人の名前というのは、その人にとってどの言葉よりも快く、どの言葉より重い響きを持っている。
④話し上手になる為の近道
●熱心に聞く事。本当に面白いと熱心に耳を傾けていた。相手はそれを感じ取った。それは相手を喜ばせた。そのように話しに耳を傾けるのは私たちが人に与える事の出来る最高の褒め言葉。
●行きずりの恋/ジャック・ウッドフォード
・人は誰しも自分の話しを熱心に聞いてくれる人に弱いものだ。
●商談を上手くやる秘訣ないし極意
○(教育家/チャールズ・エリオット
・相手の話しに集中して耳を傾ける事。これ程相手にとって嬉しいものはない。
●人に敬遠され、影で笑われ、軽蔑される方法
・相手の話しを良く聞かない。
・自分の事をまくしたてる。
・相手が話している内に何か思いついたら、相手が話し終わるのを待たない。
・相手はこちら程賢くはない。
・くだらない話しに耳を傾けて時間を無駄にする必要はない。話し途中でもすぐに遮って割り込むべし。
>エゴの塊で、自己重要感に酔っているつまらない人間。
●(ノーベル平和賞受賞者/ニコラス・マレーバトラー)
・自分の事しか考えない人間は絶望的に無知な人だ。どれだけ学問があったとしても、無知である事に変わりはない。
●話し上手になりたいのなら、良い聞き手になる事。
・興味を持たれたければ、興味を持たなければならない。
・質問をしよう。相手が嬉しくなるような質問を。
・自分のした事を話すよう仕向けよう。
・あなたの話し相手は、あなたやあなたの問題には関心が無い。その何百倍も自分や自分の望み、自分の問題に関心がある事を忘れないようにしょう。
●人に好かれる原則4
・良い聞き手になろう。
・相手が自分の事を話したくなるように仕向けよう。
⑤人に話しを聞いてもらうには
●セオドワ・ルーズベルト
・ルーズベルトの博識ぶりには驚かされる。相手が誰であろうが、話題に困る事はなかった。
・誰か尋ねて来る予定があると、前の晩夜遅くまで寝ないで、その人物が特に興味がありそうな題材について予習していた。
・人の心を捕らえる為の王道は、その人物が最も大切にしている事を話す事。
●人に好かれる原則5
・相手が関心のある話題を選ぶ。
⑥たちまち人に好かれる方法
●イエス・キリスト
・人にして欲しい事は、人にもしてあげなさい。
●出会う人のほとんどが、何らかの点であなたより自分の方が優秀だとおもっている。だから、人の心を掴む確実な方法は、相手の価値を自分が認めている事を相手に知らせる事。それは相手の世界のごく小さな一部でも良い。しかし、心から認めなければならない。
●「心からの称賛」という魔法の道具を私たちはいつどこから使えばいいのか?
・今すぐそせぞれのご家庭で使い始めてはいかがだろうか。
・家庭ほどそれを必要としていて、蔑ろにされている場所はない。
●女性を恋に落とす方法(ドロシー・ディックス)
・有名な結婚詐欺師へインタビュー(獄刑務所の中で)。23人の女性の心と銀行預金とを奪った男。
○女性に好かれるコツ
・特に大した技は無い。しなければならないのはただ一つ。相手の事ばかり話題にしていればいい。
●同じテクニックが男性にも使える。
○イギリス帝国を牛耳っていた史上有数の知恵者/ウィズ・レイリー
・相手の事ばかり話せ。何時間でも耳を傾けてくれるだろう。
●人に好かれる原則6
・相手に重要だと感じさせる。しかも、それを誠実に行う。
【人を説得する12の原則】
①議論に勝者なし
●議論に勝つ方法は天下広しと言えども一つしかない。
>議論を避ける事。
●ベンジャミン・フランクリン
・議論をして苛立たせ、やり込める。そんな方法でも時には勝利を収める事もあるだろう。しかし、そんなのは虚しい勝利だ。相手の好意は決して得られないのだから。
>理論的大勝利を得るのか、人から好かれる事を選ぶのか。
●自己重要感を得る為に権威を振りかざす人がいる。権威を使って勝てる議論を仕掛けて来る輩。
>議論せず、相手の自己重要感を満足させる。
>態度が軟化する。
●ブッタ
・憎しみを憎しみによって終わらせる事は出来ない。愛だけがそれを出来る。
>意見のすれ違いも議論によって終わらせる事は出来ない。
>機転や外交術、譲歩、相手の立場になって考える思いやりだけが終わらせる事が出来る。
●リンカーン
・同僚といつも喧嘩ばかりしている陸軍将校に向かって叱った言葉
・人の役に立とうとしている人間なら個人的な喧嘩などしている暇は無いはずだ。それに喧嘩などしてもろくなことは無い。癇癪を起こして自分の感情を制御出来なくなる事が関の山だ。
・大きな事があったら、どちらに武があっても譲り、小さな事があったら自分に武があっても譲りなさい。
・道で犬に会ったら、一歩も譲らず噛まれるより道を譲った方が賢明だ。犬をやっつけたとしても噛まれた傷は治らない。
●人を説得する原則1
・議論を上手くやる最善の方法は、議論を避ける事。
②敵を増やす確実な方法
●人が間違っている事を言っているかどうかは言っている内容を検討するまでもなく、表情や仕草、声の調子から分かる。
>間違いが分かって指摘する。
>相手の知性に、判断力に、自尊心に攻撃を加えている。
>指摘した相手を殴り返したい気持ちにさせる事は出来るが、考えを変えたいという気持ちにさせる事は出来ない。
>相手の感情を傷つけてしまっているから。
●「何故そういう事になるか説明しましょう」という前置きで話しをするのは禁物。
>「私は君より頭が良い。よく言って聞かせて考えを改めさせましょう」と言っているに等しい。
>果し状である。
>相手に対抗心を持たせ戦闘体制に入らせる事になる。
>こちらには、その心構えが出来ていないのに。
>もっと穏やかな状況にあっても人の心を変えさせるのは難しい。
>それをあえて難しくするのか。
●人に何かを分らせようとするなら、それをまともにぶつけてはならない。
>相手が気づかない内に、静かに巧妙に行う。
●イギリスの詩人/アレクサンダー・ホープ
・教えていないふりをして教え、相手が知らない事は忘れてやる事にしている。
●誰かが言った事が間違っていたとする。一歩進めて間違っている事が明らかだったとする。
・なるほど。私の考えはそれと違うのですが、私が間違っているのかもしれません。私はよく間違えますから。
・もし間違っているのなら考えを改めたいので事実を確認してみましょう。
>この言い方には物事を前に進める魔法の効き目がある。
●科学者にして有名な探検家/ステファーソン
・科学者は何かを証明しようとしたりはしない。事実を発見しようとするだけ。
●自分が間違っている時、それを自分で認める事はある。他人がやんわりと指摘したのであれば、自分の誤りを認め、自分は率直で心の広い人間だと胸を張る事もある。
>しかし、苦い薬を他人が飲み込ませようとすると、そうはいかない。
●ベンジャミン・フランクリン
・昔、頑固で傲慢な態度を改めた。
・他人の意見に真っ向から反対したり、自分の意見を強く主張する事を慎むようにした。
・「確かに」「疑いもなく」といった断定的な言い回しを使う事を止めた。
・「私はこういう風に考える」「理解している」「思う」「今のところはそのように思える」という表現を使うようにした。
・誰かが間違いだと思われる主張をした時でも、いきなり反対したり、その主張が馬鹿げていると言いたい主張を抑えて「状況によってはそういう事もあるだろうが、今の場合は少し違うように思われる」などを切り出すようした。
>人との会話が以前より弾むようになった。
>控えめに意見を持ち出すと簡単に受け入れてもらえるし、反対される事も少なくなった。
>自分が間違っていると分かった時でも、あまり恥をかかなくなった。
>たまたま私の方が正しかった場合では、間違った意見を捨てさせて、自分の意見に同調させるのが容易になった。
>独断的物言いが無くなった。
●イエス・キリスト
・あなたに敵対する者と、速やかに和解しなさい。
>意見の異なる者と口論してはいけない。
>相手が間違っていると挑発せず、少しばかり外交術を用いよ。
●人を説得する原則2
・相手の意見に敬意を払う。
・相手が間違っているなどとは口が裂けても言わない。
③間違っていたら素直に認める
●どうせ針のムシロに座らせられるのであれば、自分で座った方が良い。
・相手が投げつけようとしている酷い言葉を、自分で自分に投げつける。
>相手は気勢を削がれる。
>十中八九、相手は寛大で慈悲深い態度をとり、あなたの失敗による被害を最小限にしてくれる。
●自分の誤りを言い繕う事はどんなに無分別な人間にも出来る。事実、無分別な人間は大抵そうする。
>自分の誤りを認める事が出来れば、そうした人より頭一つ抜け出る事になり、自分の品格が向上したという気分と喜びを感じる事が出来る。
●自分の考えが正しければ、丁重かつ巧みにこちらの考えに誘導しよう。
●自分が間違っている時は、自分に正直になりさえすれば、自分が間違っている事は驚くほどよくある事である。
>自分の誤りを速やかに、心から認めよう。
>驚く程の結果をもたらすだけではない。
>自己弁護を試みるより遥かに楽しかったりする。
●諺「負けるが勝ち」
●人を説得する原則3
・誤りは速やかにはっきりと認める。
④相手の心に届く話し方
●ジョン・ロックフェラー2世
・1915年当時、コロラド州で最も嫌われた人間だった。
・アメリカ史上最悪の流血事件となったストライキが2年間続いていた。
・コロラド石油鉄鋼会社の鉱山労働者が賃上げ要求。
○ロックフェラーの演説
・曰く、「ここにこうして居られる事を誇りに思います」
・曰く、「皆さんのご家庭を訪問し、奥様や子供さん達ともお会いしています。ですから、今日は見知らぬ同士としてではなく、友人としてお会いしている訳です」
・曰く、「相互の友情の旗印の元」
・曰く、「私達の共通の利害の為に」
・曰く、「私がこうして参加出来るのは、一重に皆さんのご厚意のお陰です」
○ロックフェラーの演説の冒頭部分
今日は私の人生の中で記念すべき日です。
この会社の従業員を代表する皆さん、並びに役員、管理職の皆さんに初めてお会い出来、大変嬉しく思います。そして、ここにこうして居られる事を心から誇りに思います。
私はこの会合の事を生涯忘れないでしょう。
この会合が二週間前持たれていたら、あなた方の殆どは私の顔を知らなかったでしょうし、私も知った顔は数人しかいなかったでしょう。
しかしながら、先週、炭田南地区の全ての居住区をお伺いし、不在の方を除き、ほぼ全ての代表者の方と個人的にお話する機会を持てました。
さらには皆さんのご家庭を訪問し、奥さんや子供さん達ともお会いしました。
ですから、今日は見知らぬ者同士としてではなく、友人としてお会いしている訳です。
その相互の友情の旗印の元、私は、私達の共通の利害の為にお話し出来る機会を持てた事を嬉しく思います。
これは、会社の役員と代表の間で開かれる会合ですから、不幸にしてそのどちらでもない私がこうして参加出来るのは、一重に皆さんのご厚意のお陰です。
とはいえ、ある意味私は、株主や取締役の代表ですから、皆さんと密接な繋がりがあろうかと存じます。
>これこそ、敵を友人に変える見事なお手本。
●相手の心があなたに対する不快感と敵意とに満ちていたら、世界中の理屈を総動員しても、相手を説得する事は出来ない。
●人は自分の意見を変えたがらない。
●優しく友好的な態度で臨めば、考えを変える事を出来る。
●リンカーン
・「ハエを捕まえるなら、1ガロンの苦水より一滴の蜂蜜」という諺は正しい。
○人を自分の主義主張に従わせたいのなら、まずは自分が「誠実な友である事」を分からせる事。 >それこそ、一滴の蜂蜜であり、相手の理性に訴える最善の道。
●弁護士>政治家>国務長官/ダニエル・ウェブスター
・法廷弁論の切り出し
>皆さん、これは考慮する価値があるかもしれません。
>皆さん、ここには皆さんが見逃したない事実のいくつかがあります。
>人間の本質をご存知の皆さんには、これらの重要性が容易にお分かりになるはずです。
・ゴリ押しをしなければ、高圧的な言い方もしない。
・自分の意見を押し付けようともしない。
・穏やかな口調の静かなアプローチを用いる。
●責めずに褒める。
●北風と太陽
・優しさと愛情の方がいつだって怒りや力より強い。
●親切、友好的アプローチ、褒め言葉は、怒りや攻撃よりも容易く人の心を変える事が出来る。
●人を説得する原則4
・話しをする時は有効的な姿勢で。
⑤ソクラテスの秘法
●人の話し始める時、意見が異なる話題から初めてはならない。
・意見が一致する事から始め、意見が一致している事を印象付ける事。
・可能なら、双方が同じ目的に向かっている事。
・意見の違いは単なる方法論の違いであって、目的そのものではないと理解してもらう。
・最初のうちは相手にイエスと言わせる話しだけをし、可能な限りノーと言わせないように留意する。
●人の行動を促す/オーバー・ストリート教授
・ノーという返答を貰ったら最後、それは乗り越えるのが最も難しい障害となる。
・一度ノーと言ったら、相手は自分のプライドの全てをかけて守備一貫性を持たせようとする。
・最初に相手を肯定的な方向に向けるのが非常に重要。
●話し上手な人は最初にイエスという返答を引き出す。
・相手を心理学的に肯定的な方向に導く。
●会話が始まった時点で沢山のイエスを引き出せば引き出す程、自分の最終的に目的に相手の注意を向けるのが容易になる。
●頭から反対する事によって、自己重要感を満たしているかのように見える人が多い。
●議論するのは割に合わない。
・相手の立場で考え、イエスと言わせた方がはるかに利益に繋がるし、はるかに楽しい。
●古代アテナの哲人/ソクラテス
・ソクラテスの説得の秘訣
>ソクラテス式問答法はイエスと言わせる事を基本としている。
>相手が同意せざるを得ない質問を次から次へと繰り出し、次から次へと肯定的答えを引き出して積み上げていく。
>最後には、相手が殆ど気づかないうちに、少し前まで本人が強く否定していたものと同じ意見を持たせてしまう。
>今度相手が「間違っている」と言いたくてウズウズしていたら、ソクラテスを思い出し、まずは穏やかな質問をして、相手からイエスを引き出そう。
●中国の諺
・性急に事を急がないものが、結局遠くまで行く。
●人を説得する原則5
・相手がイエスと即答出来るような質問をする。
⑥心の思いを解き放つ安全弁
●相手を説得しようとする時、大抵の人は自分の都合ばかり喋り過ぎる。
>相手に自分の事を話させるようにしよう。
>相手の事は相手が一番分かっている。
●相手の意見に同意出来ない場合、口を挟みたい誘惑にかられる。
>そうしてはいけない。危険。
>相手にまだ言いたい事が沢山ある場合、あなたの言う事などにかまってくれない。
>忍耐強く広い心で、言いたい事に耳を傾けよう。
>相手を促して、言いたいことを全て吐き出させてあげよう。
●人の自慢話を聞くよりも、自分の手柄話しをしたい。
●フランスの思想家/ラード・シスコー
・敵が欲しいのなら、友より勝ると良い。
・友が欲しいのなら、友に譲ると良い。
>自分が人より優っていると思えれば、自己重要感を得られるし、劣っていると劣等感を感じ、嫉みや恨みが生じるから。
●ドイツの諺
・他人の不幸は蜜の味。
>あなたの友人の中には、あなたが勝利するよりも、苦労するのを見るのが楽しい人がいるはず。
>自分の成功は小さく見せよう。控え目でいい。その方が絶対人の受けが良い。
●人を説得する為の原則6
・人に心ゆくまで喋らせる。
⑦協力を引き出す上手なやり方
●受講生/アドルフ・セレツ(自動車販売業)
・やる気をなくして手抜きをしている自動車販売員達に喝を入れる必要がある事に気づいた。
・営業会議において「自分に何をして欲しいか」を教えてくれと頼んだ。
>彼らの考えを黒板に書き出した。
○君達の要望は全て叶えよう。
○さて、私は君達に何を期待していいか聞かせてくれないか?
>間髪なく答えが返ってきた。
>忠誠心、誠実な仕事、積極性、前向きな考え、チームワーク、1日8時間全力で働く。
>会議が終わる頃には、部下にはやる気と気力が戻っていた。
>その後の営業成績は驚くべきものだった。
○私と部下は、互いにコミットし合った。
>私がコミットした事を守る限り、部下達も自分がコミットした事を守ろうと決めた。
>彼らの意見や希望を聞いた事がカンフル剤の役目をしてくれた。
●自分は何かを売りつけられているとか、押し付けられていると感じる事が好きな人間はいない。
・自分の意思で買っているとか、自分の考えで行動していると思える方がずっと好ましい。
・自分の希望や欲求、意見を聞いて貰えると嬉しい。
●友人/ウエストン(デザイン制作会社の営業)
・服飾デザイナーや衣料メーカー向けに所属作家の制作するスケッチの販売。
・ニューヨークの一流デザイナーに3年間売り込み。
>会ってくれるが「君とは意見が合いそうにない」と買ってくれない。150回失敗して、毎回同じ輪だちを踏んでいる事に気づいた。
○新しいやり方を試した。
・作成途中のスケッチを何枚か選び、デザイナーの元に駆けつけ、「宜しければアドバイスを頂けないでしょうか?」と言った。
・「ここに未完成のスケッチを持ってきています。どういう風に仕上げれば、あなたの役に立てるか教えていただけないでしょうか?」
>デザイナー「この絵をしばらく預からせて下さい。2、3日したらまた来て下さい」
>3日後にデザイナーを訪れ、幾つかアドバイスを貰い、デザイナーのアドバイスを元に所属の作家達に修正させた。
>結果、全て買い上げてもらえる事になった。
○以前は、私が売りたいものを「買ってくれ」と求めていた。
○今は、相手に「意見を下さい」と求めている。
○デザイナーが「自分でデザインを考えている」という気持ちになっている。
>こちらから売り付ける必要がない。
>自ら進んで買ってくれる。
●あるX線装置の製造業者
・ブルックリンの大病院に自社製品を売り込んだ。
・担当者に手紙を送った。
>弊社工場では、最近X線装置の新製品を完成させました。丁度最初のロットが営業所に入荷したところです。
>まだ完全なものでない事は私共も承知しており、今後改良を図っていきたいと存じております。
>つきましては、一度先生にご覧頂いて、より使用に耐えうる製品にする為にはどのようにすれば良いのかご意見を賜れましたら幸いです。
>ご多忙中だと存じますので、日時をご指定頂ければ、いつでも弊社より車でお迎えに参ります。
・手紙を受け取った担当者、驚くと共に嬉しくもあった。
>X線業者から意見を求められた事はなかった。
>私に自己重要感を与えてくれた。
>新製品を見に行った。
>見れば見るほどその装置を気に入ってしまった。
>誰から売りつけられたという事ではなく、自分の意思で、その装置を購入すると決めた感覚。
>その装置の優秀さに惚れ込んで、自ら注文した。
●ウッドローウィルソン大統領の在任中、国内外に影響力を持っていた政治家/エドワード・ハウス大佐
・大統領から閣僚より頼りにされた。
○大統領をある考えに導く一番良い方法は、その考えをさり気なくインプットし、関心を持たせ、自分自身でそれについて考えさせるよう仕向ける事。
>ある政策を取るよう勧めたが、その時は気が進まない様子だった。
>数日後のある晩餐会の席上で、大統領の口から、ハウス大佐が提案した事が自分の意見として出てきた。
・ハウス大佐
>手柄なんか要らない。欲しいのは結果だ。ウィルソンが自分の考えだとするなら、そうさせておけば良い。
>「それは、大統領のお考えだ」と、公言した。
●あるキャンプ場の売り込み
・キャンプ場を利用した名前と電話番号が書かれた顧客リストを送り、その人達に直接電話してキャンプ場のサービスについて問い合わせてくれ、と。
>顧客リストの一人に電話した後、そのキャンプ場に予約の電話をした。
>他の業者は売り込もうとしたが、そのキャンプ場の主人は、私に買わせた。
●人を説得する為の原則7
・相手に「自分が考えた」と思わせる。
●中国の賢人/老子
・川や海が100山の渓流の注ぐ所となるのは、身を低きに置くからである。
・かくして、川や海は渓流に君臨する。
・故に賢者は、人の上に立たんと欲して、人の下に身を置き、人の前に出でんとして、人の後に身を置く。
・かくして、人の上に立てども、人はその重みを感ずる事なく、人の前に出ても、それを屈辱と感じない。
⑧奇跡を起こす魔法の公式
●相手が完全に間違っている事がある。
>本人は自分が間違っているとは思っていない。
>そんな時、相手を非難してはいけない。
・相手がそのように考え、そのように行動するには理由がある。
>その隠れた理由を探り出そう。
>その人物の行動の鍵、さらには性格の鍵までを手にする事が出来る。
>相手の立場になって物事を考える。
>時間を無駄にしないし、イライラしなくて済む。
>原因が分かれば結果にうんざりする事がなくなる。
●「人を輝く金に変える」著者/ケネス・グッド
・あなたは、自分に関係する事に関しては強い関心を持つ一方で、それ以外では関心が薄いはずだ。
○人間関係を上手くやれるかどうかは、相手の立場を思いやれるかどうかにかかっている。
●「どうしたら相手はそれをしたくなるだろうか」と自分に問う。
●ハーバード大学ビジネススクール/ドラム学部長
・誰かと会って話をする時は、いきなり何の準備もせず、その人のオフィスに足を踏み入れるような事はしない。
・オフィスの前の歩道を2時間も歩いて、どんな事を話すべきか、そして彼の人柄について自分の知識を総動員して、私の話に対して、彼がどう答えそうか明確なイメージを掴んでから中に入る。
●本書を読んで、たった一つの事を学ぶとするなら
・相手の立場になって考える事。
・自分の視点からだけでなく、相手の視点からも物事を見るようにする事。
●人を説得する原則8
・相手の立場になって物事を見る。
⑨誰もが望んでいること
●言い争いを無くし、反感を減らし、善意を増やし、あなたの話に耳を傾けてくれる。魔法の言葉
>あなたがそう思うのは当然です。私があなたでもそう思うでしょう。
●今後、あなたが会う人の3/4は、同情される事に飢え乾いている。
>だから、それを与えてあげよう。
>あなたに好感を持つ事、請け合いである。
●アメリカ大統領/タフト
・日々、人間関係に関する厄介な問題に直面する。直面させられる。
・恨み辛みを中和するには、共感する心が効果的である事を経験的に知っていた。
●名著「教育心理学」の著者、心理学者/アーサー・ゲイツ博士
・人間は誰しも同情される事を渇望している。
・子供は怪我をすると懸命に傷を見せようとする。
・時にはわざと切り傷やアザを作って同情を引こうとする事さえある。
・大人も同じように、傷跡を見せたり、災難に遭った話や病気になった話をしたがる。
・手術を受けようものなら、事細かにその話を場とする。
・現実に起きた事であれ、想像の産物であれ、不幸な出来事に関する自己憐憫な感情は程度の差こそあっても、何処にでも誰にも見られる事である。
●人を説得する法則9
・相手の考えや望みに同情や共感を寄せる。
⑩人の心に響く訴え方
●大銀行家/ジェピー・モルガン
〇人が行動を起こす理由には2つある。
・一つは美しい理由。
・もう一つは本当の理由。
>人は理想化なので、美しい理由を考えたがる。
〇人を説得する為には、その高貴で美しい理由に訴えるのが早道だ。
●受講生/ジェームズ・トーマス
・ある自動車会社の修理代の請求を拒否している顧客が数人いた。
・全て、請求の1箇所に間違いがあるとしていた。
○債権管理部門の担当が取った対応
・顧客を訪問し、ずっと前に請求志田代金の請求に来たと、ビジネスライクに告げる。
・会社は絶対に間違っておらず、したがって、間違っているのは客の方だとはっきり説明した。
・自動車の知識はどう頑張っても会社の方が上であり、したかって議論の余地はないとほのめかした。
>結果、激しい議論になった。
○上司の本部長がジェームズ・トーマスを呼んで行った対応
・私が訪問した目的は、前の担当者と同様、以前出した請求書の支払いのお願いです。
・これまでの会社のサービスの良かった点と、至らなかった点を調べる為に来た。
・お客様の話を聞くまでは、だれの立場でもない。白紙の状態です。
・会社側が決して間違ってはいないと主張するつもりはない。
・私が関心がある事はお客様の車の事だけです。
・お客様の車については、お客様自身が一番良くご存じのはずであり、こに件に関しては一番の兼任者です。
・お客様に話して頂き、心から関心を持って耳を傾けました。
・それがお客様が望んでいる事であり、また望んでいた事だからです。
・話が全て終わり、こたらの話を聞いてもいいという雰囲気になった事を見計らって、今回問題になっている件について、お客様が公平に判断できるよう仕向けた。
○高貴で美しい気持ちに訴えた。
・この件に関しては、私もお客様同様、当社のやり方は間違っていたと思っています。
・担当の者によって、さぞかし深いな思いをされた事と思います。
・あってはならない事であり、とても遺憾に思うとともに、当社の代表としてお詫び申し上げます。
・お客様のお話をお聞かせ頂いて、お客様が忍耐強く公平な態度をに感心しました。
・そこで、それを見込んで一つお願いがあります。
・お客様のような方でないと出来ない、そして、お客様が良くご存じの事です。
・ここにお客様に対する請求書があります。
・こうお願いしても問題ないと思うのですが、この内容をチェックして頂けないでしょうか?
・私どもの会社の社長になったつもりで、見て頂きたいのです。
・全てお客様にお任せして、どんな結論が出ようがお引き受けします。
・お客様は楽しそうに請求書をチェックしていた。
>結果、請求書の全額をお支払いいただいた。
>次の新車も購入頂いた。
○お客様の情報が手に入れられない場合、一番間違いない方法は、そのお客様は誠実で、正直で、信頼出来る人だと見なす事。
>どんな料金でも進んで払ってくれる人だと。
○人間というのは大抵正直で果たすべき義務は果たしたいと思っている。
●人を説得する為の原則10
・高貴で美しい心に訴える。
⑪映画やラジオに学ぼう
●現代は演出の時代
・単に事実を述べるだけの手法はもはや通用しない。
・伝える真実に生き生きとして面白く、ドラマチックな演出が加えられなければならない。
●映画もラジオも使っている。
・人の注意を引きたければ、あなたも演出力を発揮する必要がある。
●ショウウインドウを飾りつけるエキスパートは演出の持つ絶大な力を熟知している。
・鼠取りの薬を作っているメーカーは、ショウウインドウの中に生きたナズミをら2匹入れる演出を販売店に行わせた。
>売り上げが5倍になった。
●市場調査会社/ジェームズ・ボインド
○コールドクリーム販売会社から市場調査を依頼された。
・最初の報告の時は、市場調査結果についてではなく、市場調査の仕方についての議論になってしまい、本筋をそれて、こちらの正当性を論破できたが時間切れで何の成果も得られず終わった。
>次は数字やらデータやらを並べ立てるのは止めた。
>事実をいかにドラマチックに見せるかを心掛けた。
・32個の他社のコールドクリームに調査結果を記入した札を付け机に並べた。
・その札自身がその製品についての情報を簡潔に、しかしドラマチックに語ってくれる。
>議論にはならず、お客様は札の内容を読み、質問を浴びせかけてきた。
>報告内容は前回と同じ。演出効果を使っただけ。
>効果は絶対だった。
●人を説得する為の原則11
・演出を加える。
⑫何をやってもダメな時はこのてを使え
●ユーエススチール初代社長/チャールズ・シュワブ
○何かをさせたければ、競争心に訴えるのが良い。
・淺ましい金儲けの為の競争ではなく、他人より秀でたいという気持ちにである。
・他人より秀でたいという気持ち、やり甲斐、挑む気持ち、負けん気に訴える失敗の無い方法がシュワブの使った戦術。
●ファイヤストン・タイヤ・アンド・ラバー社創業者/ハーべー・ファイヤストン
○良い給料だけで人材を惹きつける止まらせる事は出来ない。仕事に競い合う要素が必要となる。
>他人より秀でたい気持ち=自己重要感を得たいという気持ち。
●人を説得する原則12
・負けん気を刺激する。
〔人を変える9つの原則〕
①どうしても欠点を指摘したい時には
●第29代米国大統領/カルビン・クーリッジ
・秘書に指摘をする時に使った手法
・「今朝は素敵な服を着てるねー。君の様に若くて素敵な女性が側に居てくれて私は幸せだよ」
・「勘違いしてもらっちゃ困るよ。君を良い気持ちにさせようと言っただけなんだから」
・「ところで、これからは句読点の打ち方にもう少し気をつけてもらいたいなぁ」
○何か自分の良い所を褒められた後なら耳に痛い言葉も入ってき易い。
●ワーク社/ダブリュピー・ゴー
・オフィスビル建設受注。
・建設終了間近、青銅製装飾品製造メーカーが期日までに納入出来ないとの連絡が入った。
・たった1社の遅れがビル完成納期を遅らせ、莫大な違約金が発生する。
・ゴーが青銅製装飾品製造メーカーにとった手法
○青銅製装飾品製造メーカーの工場に出向いた
・開口一番「ブルックリンには社長と同じ名前の人はいませんね。ご存知でしたか?」「今朝ここにくるために駅で電話帳をみたら社長の名前が一件しかなかったんです」
>社長は誇らしげに自分の名前の由来を話し始めた。
・社長の話しが終わったあたりで、次は大きな工場を褒め、他の工場とくらべても優れていると賞賛した。
>社長「工場の中をご覧になりますか?」と工場を案内した。
・ゴーは工場の生産システムを褒め、他の会社と比べてどこが優れているかを説明した。
>社長、自分が発明した機械の説明を誇らしげに語った。
>社長は遠慮すゴーを無理に昼食に誘った。
・ゴーからは一切青銅製装飾品納期の話しは切り出していない。
>社長自ら「さて、仕事の話しに移りましょう。あなたがいらっしゃた理由は分かっています。私達の会合がこんなに楽しいものになるとは予想もしていませんでした。他の注文を遅らせても、あなたへの品物は必ず納期に間に合わせます。ですから安心してフィラデルフィアにお戻り下さい」
●人を変える原則1
・褒める事から始める。
②嫌がられない批判の仕方
●チャールズ・シュワブ
〇工場で禁煙場所で煙草を吸っていた従業員に対して行った指摘の仕方。
・男達に近づいて全員に葉巻を渡すと「外で吸って貰うとありがたいんだが」
・従業員は感服した。
>自分達がルール違反をしている事を知りながら、その事を一言も口に出さないばかりか、ちょっとしたプレゼントまでして顔を立ててくれた。
>このような人間が人から好かれない訳はない。
●人を変える為の原則2
・他人の誤りは遠回しに指摘する。
③まずは自分の至らない所を話す
●デール・カーネギー
○姪のジョセフィン・カーネギーが19歳でデール・カーネギーの秘書になった時、ジョセフィンに小言を言う時に行った事。
・自分に言い聞かせた事。
>一呼吸置くんだ。お前はジョセフィンの2倍も年上ではないか。
>仕事の経験は彼女の何万倍もある。
>その自分と同じ洞察力、判断力、指導力を彼女に期待する方が間違っている。
>最も、お前の能力だって威張れたものではないが。
>冷静になって、自分が19歳であった時の事を思い出せ。
>馬鹿げたミスや失敗ばかりしていたではないか。
○それ以降、ジョセフィンのミスを指摘する時は
>ミスをするのは良くないが、正直言うと私が今までやったミスに比べれば大した事ない。
>最初から完璧な人間はいない。
>経験を通して腕を磨いていけば良い。
>同じ頃の私に比べれば、お前の方がましだ。
>自分でも愚かで間抜けな事をしてきたから、お前にも他にも文句を言えた義理ではない。
>しかし懸命なお前には分かって貰えると思うのだが、これはこうしてみてはどうだろうか。
●人の誤りを指摘さる際に、自分も完璧には程遠いと謙虚に認めてから始めれば、相手もこちらの言い分に耳を傾け易くなるものだ。
●人を変える原則3
・相手の欠点を指摘する時は、自分の至らない点をまず話す。
④指図されるのが好きな人間はいない
●RCE、GEを創業した実業家/オーエン・ヤング
・ヤングは直接的に指示を出した事はない。
・いつも与えるのは「提案」であって、「指示」ではなかった。
・「ああしろ、こうしろ」とか「こうしてはいけない、ああしてはいけない」とは言わない。
・「こう考えたらどうたろうか」とか「これで上手く行くと思うかい?」と言う。
○それぞれの人が自分の力で仕事出来る機会を与えていた
・部下に「こうしろ」とは言わず、部下自身が自分で判断し仕事をし、失敗をしたらそこから学べるようにしていた。
>そういうふうにすれば、人は自ら誤りを進んで訂正するようになる。
・プライドを傷つけないし、自己重要感を持つ事が出来る。
・反抗するのではなく、協力しようという気になる。
●人を変える原則4
・命令をする代わりに質問をする。
⑤人の顔を立てる
●私達はしばしば他人の感情を踏み付けにして我が道を行く。
・人にケチをつけ、脅しをかけ、人前で子供や従業員を叱り飛ばす。
・それによって相手のプライドがどれ程傷付けられるかなど考えもせずに。
○しばし立ち止まって考え、二言三言思いやりの言葉をかけ、相手の立場を考えてやりさえすれば、痛みを和らげてやれるだろうに。
>使用人や従業員を否応なく解雇しなければならない時は、その事を思い出していただきたい。
●公認会計士/マーシャル・クランジャー
○臨時雇いの人達を解雇する時の接し方
・彼らを呼び出す前に、それまでの仕事を細かい所まで振り返った。
>スミスさん、あなたは大変良くやって下さいました。
>リワークに出張して頂いた時も、難しい任務をこなした頂きました。
>困難な状況に置かれたにも関わらず、物の見事にやり遂げて下さいました。
>会社としても大いに面目がたった事をお伝えしておきます。
>そんな実力があるのですから、どこに行かれても成功されるでしょう。
>我々もあなたを信頼していますし、出来る限りのお力添えもします。
>その事を是非お忘れなく。
・解雇された事を前向きに受け入れてくれている。
・見捨てられた感がしない。
・仕事があればずっと会社に置いてくれたと分かってくれる。
・もう一度彼らが必要となれば、また来てくれる。
●駐メキシコ大使/ドワイト・モロー
○敵対している物同士を仲直りさせる才能があった。
・双方の主張を良く聞いて、正しい所、公平な所を見つけ出し、それを褒め称え、強調し、気を遣いつつ、両人にそれが分かるようにさせる。
・喧嘩の原因が何であれ、どちらを責めたりしない。
●人を変える原則5
・人の顔を立てる。
⑥人を発奮させて成功に導く方法
○ムチの代わりにオヤツを、非難の代わりに称賛を。
・ほんのちょっとの進歩があったら褒めてあげよう。
・褒められた人はこれからも努力を続けようという気になる。
●刑務所所長/ルイス・ローズ
・冷酷な犯罪者でさえ、ほんのちょっとした進歩を褒めてやる事が良い効果を生む事に気づいた。
・囚人の努力に対して、口に出して褒めてやると、私達に対して協力的になったり、更生に対する努力を一層する様になる。
・厳しく叱ったり、非難したりするより、余程効果がある。
●人を励まして、隠れた宝物に気付かせたら、人を変える以上の事が出来るのだ。
・文字通り、全く違う物に変身させる事が出来るのだ。
●米国が生んだ最も優れた心理学者で哲学者(ハーバード大学教授)/ウイリアム・ジェームズ
・我々は自分の持つ能力に対して半分くらいしか目覚めさせていない。
・多種多様な能力を持っていながら、使いこなせていない。
○最大に使いこなせていない能力が一つある。
・人を褒め、励ます事によって、彼らの隠れた才能に気付かせてやる魔法の力。
●人を変える法則6
・ほんのちょったした進歩でも褒める。
・あらゆる進歩を褒める。
・心から評価し、惜しみなく褒める。
⑦向上心を刺激する
●ボールドウィン機関車製造所社長/サミュエル・ボークレイン
・大抵の人間は自分の尊敬している人が自分の良い所を見て、それに敬意を払ってくれると、思い通りに動いてくれるものだ。
>ある人のある点を改めさせたいと思ったら、それ(改まった姿)が既に彼の長所のように扱えば良いと言う事だ。
>時間を守れない人間に対しては「君は約束を守れる人間だよね。時間もきっと守ってくれるはず」
●シェークスピア
・美徳が無ければ、あるつもりになれば良い。
>相手に持って貰いたい美徳があるなら、既にそれが実現しているかのように考えて、相手にそう公言すれば良い。
>相手に高い評価を与えて、それに答えねばという気にさせれば、その期待を裏切らないように懸命に努力するだろう。
>「君はきれい好きだよね」
●怪盗ルパンの生みの親、モーリス・ルブランの妹、ソプラノ歌手/ジョルジュエ・ルブラン
○貧しい少女をシンデレラに変えた話し
・近所のホテルでメイドをしていた「皿洗いのマリー」と呼ばれていた少女。
・薮睨みでガニ股で、心も体も貧相な化け物のような娘だった。
・ある日、赤切れした手でマカロニの皿を運んで来た時、私(ジョルジュエ・ルブラン)はズケっと言いました。
・「マリー、あなたは自分の中にある宝物に気づいていないようね」
・マリー「奥様、そんな事、思いもしませんでした」
・マリーは、自分の中にまだ見ぬ宝があると信じ、自分の顔や身なりに気を使うのうになり、その結果、地中深く埋もれていた若さが芽を吹き、不器量さを消してしまった。
・2ヶ月後、シェフの甥っ子と結婚することになった。
・「私はレディーになるんです」とジョルジュエ・ルブランに告げお礼を述べた。
>ちょっとした言葉が彼女の人生を変えてしまった。
>ジョルジュエ・ルブランは、皿洗いのマリーに高い評価を与え、それが彼女を変身させたのである。
●刑務所所長/ルイス・ローズ
・犯罪者を相手にする時。彼らを手なずける方法はただ一つ。
・相手をちゃんとした立派な人間であるかの様に扱う事。
・真面目で誠実な人間だと思い込む事。
>そのような扱いを受けると、犯罪者は喜び、その扱いに相応しい人間になろうとする。
>人から信頼された事で、自分を誇らしく思うのだ。
●人を変える原則7
・高い評価を与えて向上心を刺激する。
⑧ハードルを下げる
●子供や夫、あるいは従業員に、「お前はバカだ」とか「こんな事もできないのか」とか「才能が無い」とか「まるでなってない」と言ってみるといい。
>完全にやる気を失うだけで、自分を改めようとは決して思わないだろう。
>それとは逆に、惜しみなく励ましの言葉を与え、やる気を起こさせよう。
>相手の能力を信頼している事、やれば出来る事を伝えよう。
>相手は自分が優秀な事を見せようととして、寝食を忘れて頑張る事だろう。
●デールの友人でジャーナリスト/ローウェル・トーマス
・人間関係の達人
・人をおだて、自信を与え、勇気と強い気持ちを持たせる。
○ブリッジの経験がないデールをブリッジに誘った手法
・ブリッジは難しくないよ。
・必要なのは記憶力と判断力だけだ。
・記憶力に付いて本に書いた事のある君には楽勝だよ。
・君の為にあるゲームと言ってもいいくらいだ。
>気がつくと、あら不思議。私(デール)は生まれて初めてブリッジのテーブルに付いていた。
>私にはブリッジの天性の才能があると言われ、ゲームに対するハードルを下げてもらえたからだ。
●ブリッジの名人/エリー・カルバートソン
・1922年、ルーマニアから米国に渡ってきた。
・哲学と社会学の教師にらなろうとしたがダメ。
・石炭販売業始めたがダメ。
・コーヒー販売業始めたがダメ。
・ブリッジで生計を立てようとは思ってもいなかった。
・カードゲーム下手。
・ひじょうにこだわりが強い性格。
>ゲームをすれば矢継ぎ早に質問をするし、ゲームが終わる度に再検討しようとするので、誰も彼とゲームをしたがらない。
・美しいブリッジの教師/ジョセフィン・リロンと出会い、恋に落ち、結婚した。
・彼女は、彼が慎重に手持ちのカードを分析して検討しているのを見て、ブリッジの才能があるのを見抜き、彼にそう告げた。
>その励まし一つが、私(エリー・カルバートソン)をブリッジのプロにしてくれたのです。
●人を変える原則8
・人に何かさせたければハードルを下げてやる。
〔幸せな家庭をつくる7つの原則〕
①結婚を手っ取り早く人生の墓場に変える秘訣
●ナポレオンとウジェニー/ある帝国の悲劇
◯ナポレオンの妻、ウジェニーが結婚後行った振る舞い。
・嫉妬に胸を焦がし、懐疑心に苛まれ、夫の言いつけを蔑ろにし、プライバシーさえも尊重しようとしなかった。
・夫が一人きりになるのを許さず、夫が他の女性とねんごろになっているのではないかと疑っていた。
・しょっちゅう姉の元に駆け込み、夫の悪口を言い、挙げ句の果てに泣いたりわめいたりする。
◯ナポレオンは夜になるとしばしば帽子を目深に被っては、横手の通用口から夜の世界へと忍び出るようになった。
・自分の事を待っている貴婦人の元へと行く事もあれば、昔のようにパリの町中をブラついたりする事もあった。
◯ガミガミ言う事によってウジェニーが手にした物はこれだった。
・不平不満という毒ガスが撒き散らかされた中では愛を繋ぎ止める事は出来なかった。
・恐れていた事が私の身に降りかかった。
・いや、降りかかったのではない。この哀れな女性は自らそれを招いたのだ。
・嫉妬と不平不満とによって。
◯疑いの余地無く確実に言える事は、地獄の悪魔がどんなに愛を壊す為に発明した邪悪な策略よりも、不平不満こそが最強の兵器だと言う事である。
>キングコブラの様に、一撃必殺なのである。
●第16代米国大統領/エイブラハム・リンカーンの悲劇
◯暗殺ではなく結婚生活だった。
◯ほとんど四半世紀に渡って、リンカーン夫人はガミガミと小言を言い、リンカーンを悩ませ続けた。
・夫に関する事で正しい事は一つも無いかの様だった。
>やれ猫背だ、やれ歩き方が変だ、やれインディアンの様に足を真っ直ぐにあげ下ろしている。
>歩き方に元気が無いと文句を言い、動き方に品が無いと批判する。
>耳が大きく頭から鋭角に突き出ているのも気に入らなかった。
>鼻が真っ直ぐでは無い。受け口だ。病人ぽく見える。
>手足が長過ぎる。頭が小さ過ぎる。
>最終的に狂気の世界にさ迷い込んでしまう。
◯リンカーンは結婚を後悔し、彼女の側に寄らない様にした。
●幸せな家庭を作る原則1
・口やかましく言わない。
②あるがままを愛する
●イギリスの首相/ディズレーリ
・恋愛結婚をしなかった。35歳の時、15歳年上の金持ちの未亡人と結婚した。
・金目当てで結婚。両者合意。
・ディズレーリの選んだ未亡人は、若くもなければ美しくもなく、頭が良い訳でもなかった。
・妻は知性でディズレーリに対抗しようとはしなかった。
・妻、メアリー・アンナとのたわいのないやり取りは気休めになった。
・帰る家は仕事から解放され、くつろげる場となり、メアリー・アンナの愛に浸れるゆったりと心地良い場となった。
・妻はディズレーリの良き相談相手であり、援助者であり、信頼出来る友であった。
・年老いた妻と共に家で過ごす時間は、ディズレーリにとって人生で最も幸福なひと時となった。
◯妻は夫のする事に全幅の信頼を寄せていた。
◯二人の間で交わすちょっとしたジョーク
>ディズレーリ「ねえ君、僕はお金目当てで君と結婚したんだよ」
>夫人が笑いながら「もう一度結婚するとしたら、愛を目当てに結婚するんじゃない?」
>夫は「その通りだ」と認める。
◯メアリー・アンナは完璧な妻ではなかった。しかし、ディズレーリはあるがままの彼女を愛したのだ。
●ヘンリー・ジェームス
・人と付き合う時、まず最初に心得るべき事は、他人が幸福になろうとしてやっている事を尊重する事だ。
・その行為が暴力をもってこちらの事を邪魔しない限りにおいて。
●「家族と共に成長する」著者/ディーランド・フォスターウッド
・良い結婚生活を送るには、良いパートナーを見つけだけでは済まない。
・自分も良いパートナーにならなければならない。
●幸せな家庭を築く原則2 ・妻や夫を無理に変えようとしない。
③離婚へのカウントダウンを始める確かな方法
●結婚相談に対応/ドロシー・ディックス
・結婚の半分以上は失敗に終わる。
・ロマンチックな夢が破れて離婚という暗礁に乗り上げてしまう理由の一つ。
>相手を傷つけて何も生まない「けなし合い」をする事。
●父は忘れる/リヴィングストン・ラーネッド
・坊や、聞いておくれ。お前は小さな手に頬をのせ、汗ばんだ額に金髪の巻き毛をくっつけて安らかに眠っているね。お父さんは、1人でこっそりお前の部屋にやってきた。
・今しがたまで、お父さんは書斎で新聞を読んでいたが、急に息苦しい悔恨の念に迫られた。罪の意識にさいなまれてお前のそばへやってきたのだ。
・お父さんは考えた。これまでお前にずいぶんつらく当たっていたのだ。
・お前が学校へ行く支度をしている最中に、タオルで顔をちょっとなでただけだと言って叱った。靴を磨かないからと言って叱りつけた。また、持ち物を床の上に放り投げたと言っては怒鳴りつけた。
・今朝も食事中に小言を言った。食べ物をこぼすとか、丸呑みにするとか、テーブルにひじをつくとか、パンにバターをつけすぎるとか言って叱りつけた。
・それから、お前は遊びに出かけるし、お父さんは駅に行くので、一緒に家を出たが、別れる時、お前は振り返って手を振りながら、「お父さん、いってらっしゃい」と言った。すると、お父さんは、顔をしかめて「胸を張りなさい」と言った。
・同じようなことがまた夕方に繰り返された。私が帰ってくると、お前は地面に膝をついてビー玉で遊んでいた。ストッキングは膝のところが穴だらけになっていた。お父さんはお前を家へ追い返し、友達の前で恥をかかせた。「靴下は高いのだ。お前が自分で金を儲けて買うんだったらもっと大切にするはずた」
・これが、お父さんの口から出た言葉だから我ながら情けない。
・それから夜になってお父さんが書斎で新聞を読んでいる時、お前は悲しげな目つきをして、おずおずと部屋に入ってきたね。うるさそうに私が目を上げると、お前は入り口のところでためらった。「何の用だ」と私が怒鳴ると、お前は何も言わずにさっと私のそばにかけよってきた。両の手を私の首に巻き付けて私にキスをした。お前の小さな両腕には神様が植え付けて下さった愛情がこもっていた。どんなにないがしろにされても決して枯れることのない愛情だ。やがてお前は、バタバタと足音を立てて2階の部屋へ行ってしまった。
・ところが、坊や、そのすぐ後で、お父さんは突然なんとも言えない不安に襲われ手にしていた新聞を思わず取り落としたのだ。何という習慣に、お父さんはとりつかれていたのだろう。叱ってばかりいる習慣。まだほんの子供にすぎないお前に、お父さんは何ということをしてきたのだろう。
・決してお前を愛していないわけではない。お父さんは、まだ年端もいかないお前に無理なことを期待し過ぎていたのだ。お前を大人と同列に考えていたのだ。
・お前の中には、善良な、立派な、真実なものがいっぱいある。お前の優しい心根は、ちょうど山の向こうから広がってくるあけぼのを見るようだ。お前がこのお父さんに飛びつきお休みのキスをした時、その事がお父さんにははっきり分かった。他のことは問題ではない。お父さんはお前に詫びたくて、こうしてひざまずいているのだ。
・お父さんとしては、これが、お前に対するせめてもの償いだ。昼間こういうことを話してもお前には分かるまい。
・だが、明日からはきっと良いお父さんになってみせる。お前と仲良しになって、一緒に喜んだり悲しんだりしよう。小言を言いたくなってもこらえよう。そして、お前がまだ子供だということを常に忘れないようにしよう。
・お父さんはお前を一人前の人間と見なしていたようだ。こうしてあどけない寝顔を見ていると、やはりお前はまだ赤ちゃんだ。昨日もお母さんに抱っこされて肩にもたれかかっていたではないか。お父さんの注文が多すぎたのだ。
●幸せな家庭を築く原則3
・相手をけなさない。
・妻ではなく子供に小言を言いたくなったとしたら「父は忘れる」を思い出して欲しい。
④誰もが幸せになれる近道
●家族問題研究所所長/ポール・ポピノ
○男性が結婚相手を探す場合
・身分や地位のある女性を探したりはしない。
・女性としての魅力があって、自分の虚栄心をくすぐってくれて、自分は優れていると感じさせてくれる女性を探す。
○有能な管理職の女性
・大学で学んだ現代思想の主流などという話題を再び温め直して持ち出しかねない。
・別れ際には、自分の勘定は自分で持つと聞かなかったりする。
>その結果、それ以降の昼食は一人でとるはめになる。
○大学出ないタイピスト
・昼食に誘われると、相手の男性に熱い視線を送り、あなたの事を聞かせてと熱心に聞く。
>その結果、相手の男性は同僚に、「彼女は特別美人という程ではないけれど、あれほど話し上手な女性はいないね」と言って褒める事になる。
●世の男性は、自分を美しく見せよう、その為に着飾ろうという女性の努力に拍手を送るべきだ。
・全ての男性は忘れている。女性はひじょうに服装に関心が強いという事を。
・男女のカップルが道で他のカップルにあったとすると、女性は相手の男性を見る事は滅多に無い。
>通常、相手の女性がどんな服装をしているかに目が行く。
●私の祖母(昨年98歳で亡くなった)
・亡くなる少し前、30年前に撮った彼女自身の写真を見せた。
・目が悪かった祖母は私に「私はどんな格好をしているの?」とだけ聞いた。
・人生の最後を前にした100歳に手が届こうかという寝たきりの老女が、記憶も定かでなくなって、自分の娘さえ見分けがつかなくなっているような老女が、30年以上も前の自分の身なりを気にしているのである。
●フランスの上流階級の男性達は、女性のドレスや帽子を褒める事が身に付いている。
・それも一回だけでなく、一晩に2回も3回もである。
・5千万フランス男性の行動は理に適っているのだ。
●ある農家の主婦が一日の重労働を終えた後の夕食で男達の前に干し草を山盛りにして出した。
・怒って「頭が変になったのか!」と喚く男達に対して彼女が返した言葉
>「おや、気づくとは思わなかったよ。あんたらの為に20年も料理してきたけど、一度たりとも自分達が食べているのは干し草じゃないって事を私に言ってくれた試しが無いじゃないか」
●我儘な帝政ロシアの上流階級
・美味しい食事を楽しんだ後は、料理人を食堂に呼び出して、お褒めの言葉を与えるのが習慣となっていた。
>あなたの奥さんにも同じような気遣いをしたらどうだろうか。
●コメディアン/エディー・キャンター
・私は世界中の誰よりも妻に借りがある。
・彼女とは子供の頃からの仲良しで、私が横道にそれないよう、いつも気遣ってくれた。
・結婚した後はコツコツと貯金をし、それを上手に投資に回して沢山のお金を貯めてくれた。
・可愛い5人の子供にも恵まれた。
・そしていつも家庭を居心地の良いものにしてくれている。
・私がいくらかでも成功出来たとすれば、それは彼女のお陰だ。
●ハリウッド俳優/ワーナー・バクスター
・夫人は元女優のミニフレッド・ブライソン。結婚と同時に華やかな舞台生活を捨てた。
・夫のバクスター曰く、
・彼女は舞台で拍手喝采を受ける事は出来なくなった。
・その代わり、彼女には私が拍手喝采をしている事を分かってくれるようにしている。
・女性が夫の中に幸せを見つけるとしたら、その場所は称賛と愛情にしか無い。
・その称賛と愛情が本物なら、そこに夫の幸せに対する答えもある。
●幸せな家庭を築く原則4
・心から褒める。
⑤女性にとってとても大切な事
●太古の昔から花束は愛を象徴するものだった。
・妻に花を贈るのに、彼女が入院するまで待たなくてもいいではないか。
・明日の晩、バラの花を何本か持って帰ろう。
●ブロードウェイミュージカルの巨匠/ジョージ・コーハン
・母親が死ぬまで毎日2回づつ電話をかけていた。
・母親に対して、ちょっとした心遣いを示したかっただけだ。
・電話をすれば、こちらが相手の事をちゃんと忘れないでいる事、喜ばせたいと思っている事、その幸せを願っている事を示す事が出来る。
●女性は誕生日とか記念日に対する執着心が強い。
・誕生日と結婚記念日は決して忘れてはならない。
●2千件の離婚訴訟を和解させ、4万件の離婚訴訟を調査してきた裁判官/ジョセフ・ザバス
・不幸な結婚の底の根っこにあるのは極めて些細な事柄だ。
・朝、夫が仕事に出かける時に、妻が「いってらっしゃい」と手を振るだけで、離婚を回避出来るケースが沢山ある。
●長い目で結婚生活を見れば、ちょっとした出来事の積み重ねである。
・その事実に目をつぶるカップルには災いあれ。
●米国の詩人/エドナ・セント・ビンセント・ミレイ
・私の日々を傷つけるのは、愛そのものではなく、ほんの小さな事の積み重ね。
>離婚事例を見ると、愛が、ほんの小さな積み重ねで失われているのが分かる。
●クエーカー教徒の伝道師/スティーブン・グレデット
・この道を通るのはたった一度だけ。
・だから、私の出来る良い事、私が他の人に示す事の出来る親切を、何でも誰にでもやらせて下さい。
・遅らせたり、怠ったりさせないで下さい。
・この道を二度と通る事は無いのですから。
●幸せな家庭を築く原則5
・ちょっとした心遣いを見せる。
⑥幸せになりたければ忘れてはいけない事
●作曲家で指揮者/ウォルター・ダムロの妻
・相手を慎重に選ぶ事の次に大事なのは、結婚後も礼義を忘れない事。
・遠慮なくずけずけ言う人からは、誰だって逃げたくなる。
・礼義を忘れた態度は愛情を蝕むガンとなる。
・見知らなぬ人に礼儀正しい人が、こと近しい人には乱暴に扱ってしまう。
●ドロシー・ディックス
・自分達に意地悪で侮蔑的で傷つく事を平気で言う人間は家族の一員なのだ。
●軍人/ヘンリー・クレイリスナー
・礼義とは、壊れた門には目をつぶって、門の向こうの庭に咲く美しい花々に目をやる心のあり方である。
・礼義はモーターの潤滑油くらい結婚生活では重要である。
●ウィリアム・ジェームズ
・論文「人間のある種の盲目性」
・この論文で扱う盲目性とは、自分以外の動物や人間の人々の気持ちを見えなくしている盲目性の事である。
・顧客や仕事仲間に対しては、乱暴な口をきくなんて思いもよらないような人が、妻を怒鳴りつける事は何とも思わない。
・個人的な幸せの為には、仕事より夫婦の関係の方が遥かに重要だというのにである。
・たとえ平凡でも幸せな結婚生活を送る人間の方が、たった一人で生きる天才よりも遥かに幸福だ。
●ロシアの文豪/ツリゲーネフ
・食事の支度をして私の帰りを待っていてくれる女性がどこかに居てくれるなら、私は自分の才能と著作の全てを失っても惜しく無い。
●ドロシー・ディックス
・結婚という大事業に比べれば、この世に生まれる事など、人生における1エピソードに過ぎず、死ぬ事すらも取るに足らない出来事に過ぎない。
●幸せな家庭を築く原則6
・親しき中にも礼義あり。
⑦正しい夫婦生活の知識を持つ
●ニューヨーク市社会衛生局キャサリン・ベイネット局長
・既婚女性に対して行った少々立ち入ったアンケート結果
・既婚女性の中には夫との性生活に不満を持つ人が多い。
・離婚の原因の主な理由の一つが性生活の不一致。
●ジーブイ・ハミルトン博士
・4年に渡って100人の男女の結婚生活の問題点について調査した。
・結婚生活における不和は、性的不一致には起因しないという精神医学者がいたとしたら、それこそ偏見に満ちた無鉄砲な人物だとしか言いようがない。
・性生活が満ち足りたものであれば、他の点で多少行き違いがあったも問題にならないケースが多い。
●家族問題研究所所長/ポール・ポピノー博士
・結婚生活が失敗に終わる理由は、一般的に4つに集約出来る。
1.性生活の不一致
2.余暇の過ごし方の相違
3.経済的な困難
4.心身の異常
●シンシナティー裁判所/ホフマン裁判官
・離婚の9割は性的な問題が原因で起こる。
●バターフィールド親父
・セックスというのは結婚生活を円満にする要件の一つに過ぎないが、それがうまくいかない限り、他の事をうまくいかない。
・その事を話題にする事を遠慮するのではなく、夫婦生活のあり方について客観的かつ冷静に議論出来るようにする事が必要だ。
・そういう力をつけるには、性知識について健全に学べる品の良い本を読んで勉強する以外にない。
●幸せな家庭を築く原則7
・性生活についての良書を読んで勉強する。